有馬療養温泉旅館(有馬) 代表取締役 安岡重高さん
『由緒ある療養温泉旅館』
いらっしゃいませ!創業者の心 今も秘めて40数年 これからも
1968年療養温泉施設として登録し『ここは病気に苦しむ人たちに与えられた場所』と信念を元に営業を始めた。
町並み、交通機関など取り巻く環境が変化してきた現代、湯治・温泉療養・観光の拠点として多くの人びとに愛されている。
機械技術者の重高さんは29歳で家業を継いだ。「旅館周辺は見渡す限りが田んぼ、畑で人家など見当たらない」と懐かしそうに当時の様子を語った。『書物よりも物事は実践』と、お考えの姿は行動力の力強さが伝わってきた。川崎市内唯一の『シルバースター認可の宿』に登録。休館日を利用して「敬老の日無料招待」を30数年間続けている。老人ホーム理事、旅館組合など実に17団体の要職に就いて県、地域で日々ご活躍をなされている。
「趣味は釣りですか」と尋ねると、「旅館のお客様に『江戸前の味』を味わっていただきたくて東京湾に漁に出る。だから趣味と言うより漁だな」と、お客様の喜ぶ姿に心打たれる思いを感じるとも語った。同席いただいた3代目一剛さんは、歴史に興味がありその深さに驚かされた。お父様の思いを尋ねると『幼少の記憶は温泉の管理をしている姿を思い出す。効率的な温泉の管理方法を作り上げた』、『人任せでなく、自分でやること』、『人と人との関わり』などを話された。その姿は心から尊敬、感謝している様子を私は感じた。
「父にはいつまでも元気でいてもらい、ただ座っているだけでよい。たくさんの教えられた事を心に刻み温泉を守る」と力強い言葉があった。取材中、宿泊者のお客様、日帰り入浴の常連さんなどが来られて館内は混み始めてきた。いつの間にか日も暮れて、外は冷たい風が吹いていたが取材を終えて素晴らしいご家族の姿を拝見させていただき心が温まる思いを胸に家路に向かった。
有馬療養温泉旅館HPはhttp://www.arimaonsen.jpをご覧下さい。
(宮前の風5号・2011.1 文・青柳和美)
【注意】掲載記事は、取材時のもので内容がかわっている場合があります。