立坑工事現場と久末台地を訪ねて!(宮前区観光ガイドの会)

 宮前区地域振興課主催の「宮前区再発見・見て・聞いて・歩こう」の9月開催のイベントとして「未来の有馬川は立て(立坑)に流れる?」(副題:立坑工事現場と久末台地を訪ねて!)と称して、9月の長雨が続く中、唯一晴れ間が拡がった 9月27日(火)に「市政だより」等をみて応募された38名の方々が参加されウォークイベントを実施しました。
 当日は能満寺バス停前に9時に集合し、2班に分かれ、蓮花(れんげ)寺 ⇒ 有馬川(矢上川)立坑工事現場 ⇒ 久末小学校パノラマ塔 ⇒天照大神 ( てんしょうだいじん ) 神社 ⇒ 久末配水塔跡 ⇒ 妙法寺 などを訪問見学し、終了後は久末バス停周辺のレストラン等で、昼食をとり解散しました。
 今回訪問した久末は、その大部分を台地とそれを刻む谷戸から成り立ち現在その広さは 1.28 ㎢、人口 15,772 人です。谷戸地形に関わる地名が多くあり、ここが大地を刻む土地であることがよく判ります。江戸時代は旗本佐橋氏領で明治 22 年( 1889 年)橘村大字久末となり、昭和12年( 1937 年)川崎市に編入されました。
平成元年4月には現金2億3千万円の落し物があり一躍全国的に有名になりました。
 現在も中央の台地は大部分が市街化調整地域で約60戸の農家が野菜栽培を営む農地となっており、川崎市内の野菜の40%は久末地域から出荷されており、ここで栽培されるキャベツ・ブロッコリー・トマト・カリフラワーが「かわさき農産物ブランド」として認定されています。
 今回の訪問した中で特筆すべき訪問地は、有馬川(矢上川)立坑工事現場で宮前区を流れる有馬川(矢上川)流域は、流域の市街地率が90%を越える県内で最も市街化が進む地域で、雨水の浸透や保水する機能が減少しているため、洪水被害が起こりやすくなっています。有馬川(矢上川)を含む鶴見川流域では、昭和54年から河川と下水と流域が一体となって総合治水対策を進めてきましたが、それら流域の一体的取り組みを法的に定めて推進するために、平成 19 年 3 月に「流域水害対策計画」を策定するとともに、河川法に基づく具体的な整備計画として「鶴見川水系河川整備計画」を策定しました。これら2つの計画において、矢上川では約 60mm/ 時間( 10 年に 1 回発生する規模)の降雨対策として、洪水の軽減を目的とした洪水調節施設が位置づけられています。現在の川沿いは人家が密集した市街地で、また、川底はコンクリートで覆われているところが多いため、現況の川幅を広げたり、川底を掘り下げたりする改修工事を行うには、多くの時間と費用を要します。そこで、総合的な治水対策を検討した結果、洪水調節施設としてのトンネルを河川の地下に設置することとしました。洪水を取り込む越流堤と、取り込んだ水をトンネルに導く立坑を、矢上川と有馬川にそれぞれ 1 基設置します。そのうち工事が進んでいる有馬川の工事現場を我々は今回見学しました。

 我々宮前区観光ガイドの会では今回のように個人ではなかなか行けないような所も見学個所として皆様にご案内し、宮前区及びその周辺の地域について見聞を広めてもらう様なイベントを数多く実施していますので、これからも多くの方々に参加して頂きたく存じます。
 文・宮前区観光ガイドの会 前川

宮前区ガイドの会